“彼氏が、父親が経営する自動車修理工場で働いています。いわゆる板金屋と言われるところで、中古車の修理も多く頼まれます。割れたガラスの交換からサイドシルの修理、高級車のレストアなど依頼内容もさまざまです。
たまに事故車の修理依頼が持ち込まれ、後々になって警察が取り調べに来た…なんて話もあって驚かされます。ずいぶんと古い車を持って来られる方もおり、彼では対応に戸惑うこともあるのだとか。
けれども、彼のお父さんは嫌な顔ひとつせず、すべて請け負うのだそうです。彼のお父さん曰く「中古車と思うな。家族と思え」とのこと。長い付き合いがある車は、その家族の歴史を乗せた一員なのだそうです。板金屋は車の医者という考え方みたいで、すごいなと思いました。
この考え方はお父さんのお父さん、つまり亡くなった彼のおじいさんの考え方のようです。その頃からの常連さんは車好きばかりで、古い時代の名車を持って修理依頼に来られます。車好きの彼はいつも、そのクラシックカーを見ては感動していたようです。
彼が乗っている車もまた、おじいさんから譲られてレストアしたセダン。中古車でもカッコいいし、できれば結婚しても乗り続けたいねと言っています。”